資産管理型法人 ・・・ | 経営を委譲するために法人を介在させる ⇒資産経営をこの法人を使って後継者が行う ⇒所得分散の効果は大きくないが、あまり大きくない資産経営者でも可能 |
従来、非常に流行した方法です。しかし、管理会社の実態がないことから税務署からかなりの指摘を受け、現在では徐々に減少してきています。とはいえ、資産スケールの小さい不動産所有者であれば、まだ活用法はあります。この場合のスキームは従来は下記の2つが代表的でした。
「管理委託方式」 | 土地や建物の名義は個人のものとし、家賃の集金や物件の維持管理などは 不動産管理会社に任せる方法。 |
「転貸借方式」 | オーナー個人が所有する賃貸不動産を法人へ転貸借する方法。 この場合、不動産管理会社が賃貸不動産を一括で借り上げることになります。 |
上記の方法では税務調査において、管理会社の商務の実態があるかどうか必ずチェックされることから、それほど多額な管理報酬は得られません(せいぜい10%程度といわれます)。したがって、これらの方法は最近は流行っていません。
法人化した場合のスキームで最近の主流はこの方法となります。
資産保有型法人 ・・・ | 法人に収益物件の所有権を移転する ⇒資産経営をこの法人を使って後継者が行う ⇒使い方によっては所得分散・節税の効果は絶大 |
現在の主流の方法です。資産スケールの比較的大きな不動産所有者が利用している方法です。法人化して株主が子であるケースと株主が親であるケースの2パターンがあります。
相続対策を資産経営の観点で実行するという考え方からすると、これら不動産法人活用スキームはその真骨頂といえるものでしょう。なにしろ、本当に法人を設立し、事業を行うのですから経営そのものなのです。そして経営が順調にいけばいくほど資産運用対策・資産管理対策も兼ねるという、まさに資産経営そのものです。
地主の方はもともとも個人で土地を所有していますから、その土地に新たに法人名義で建物を建築するか、既に所有している法人に譲渡又は現物出資する方法です。
この方法により建物を法人所有することによって、賃貸不動産という資産を株式に転換し、更には類似業種比準価額を適用することにより相続税評価額を引き下げることが可能となります。
ではここで効果をおさらいしておきます。
もちろんこの方法にもデメリットは存在します。まず決算書・申告書作成義務です。税理士に依頼すればそれなりの金額が必要になってくるでしょう。また税務調査が入る可能性も個人のときより格段に可能性は高くなります。
留意すべき点は下記の通りです。
(次回に続く)
<執筆者>
伊藤 俊一 氏
税理士/伊藤俊一税理士事務所 代表税理士
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。
税理士試験5科目合格。一橋大学大学院修士。
都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定 試験委員。現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。
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