日税FPメルマガ通信 第405号

新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は
どっちをメインにする?

2024年3月21日発行

 

2024年1月からスタートした新NISAには、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2種類の投資枠があります。

しかし、「つみたて投資枠と成長投資枠の違いが分からない」「どっちをメインに投資をすればいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか。

今回は、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の違い、それぞれの投資枠の使い分け方について詳しく解説します。

1.新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の違い

まずは、新NISAの基礎知識として、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の違いを見ていきましょう。

「つみたて投資枠」とは
つみたて投資枠とは、従来のNISA制度における「つみたてNISA」に当たる部分です。
従来のつみたてNISAでは年間40万円だった非課税投資枠が、新NISAでは年間120万円に拡大されました。

購入可能な商品については、従来と変わらず「長期の積立・分散投資に適した投資信託」に限定され、対象商品は金融庁によって選定されています。

投資初心者や毎月一定額を積立投資したいという方は、つみたて投資枠での投資が向いているでしょう。

「成長投資枠」とは
成長投資枠とは、従来のNISA制度における「一般NISA」に当たる部分です。
非課税投資枠は年間240万円で、従来の一般NISAの2倍にまで拡大されました。

また、成長投資枠には、投資可能な商品の種類が多いというメリットがあります。
つみたて投資枠で購入しているような長期の積立・分散投資に適した投資信託はもちろん、アクティブファンドなどのハイリスク・ハイリターンと言われる投資信託も購入できます。

国内株式や外国株式、ETF(上場投資信託)やREIT(不動産投資信託)の購入もできるため、投資経験が豊富で、NISAの非課税枠でさまざまな商品に投入したいという方は、成長投資枠を上手に活用すると良いでしょう。

2.新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の使い分け方

従来のNISA制度では、「つみたてNISA」と「一般NISA」は併用することができませんでした。

しかし、新NISAの場合は、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能です。

続いては、新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠の使い分け方について、3つのパターン挙げて解説します。

「つみたて投資枠」だけを利用する
投資初心者にまずおすすめしたいのが、つみたて投資枠だけを利用する使い方です。

新NISAであれば、つみたて投資枠だけでも年間120万円の投資ができ、非課税保有限度額は1,800万円もあります。また、非課税枠の再利用も可能です。

つみたて投資枠なら、金融庁が認めた積立投資に適した投資信託しか購入できないため、安心感があります。また、それらの投資信託は信託報酬などの保有コストも低めに設定されているケースが多いです。

ただし、「投資に慣れてきて、株式やETFなどにも興味が出てきた」という場合、つみたて投資枠での投資だけでは物足りなさを感じてしまうかもしれません。

「成長投資枠」だけを利用する
投資経験が豊富な方、長期的な資産形成ではなく、短期で利益を確定させるような投資をしたい方は成長投資枠だけを利用しても良いでしょう。

成長投資枠なら、国内株式や外国株式、ETFなど幅広い選択肢の中から投資商品を選ぶことができます。
また、必ずしも積立投資にする必要はなく、一括での購入も可能で、年間投資枠は240万円です。

ただし、成長投資枠だけを利用する場合、非課税保有限度額は1,200万円となります。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用する
つみたて投資枠と成長投資枠の併用には、新NISAの投資枠をフル活用できるというメリットがあります。

つみたて投資と並行して、株式やETFを購入するという方法が一般的ですが、成長投資枠でつみたて投資をすることも可能です。

新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠で同じ銘柄を買うことも認められています。
例えば、年間120万円(毎月10万円)の投資枠では足りない場合には、成長投資枠の240万円をつみたて投資に回すこともできます。
つまり、最大で年間360万円(毎月30万円)のつみたて投資ができるということになります。

投資資金に余裕があるなら、つみたて投資枠と成長投資枠の2つを併用し、積極的に非課税枠での投資を行うのが良いでしょう。

3.新NISAの「つみたて投資枠」と「成長投資枠」はどっちをメインにする?

新NISAで「つみたて投資枠」と「成長投資枠」のどちらをメインにするか、それぞれの枠をいくら使うかは、個人の判断に委ねられています。

基本的に、投資初心者や初めてNISAを始める方は、つみたて投資枠をメインにスタートするのがおすすめです。
新NISAは、つみたて投資枠の非課税限度額が年間120万円に拡大されたため、つみたて投資枠だけで運用しても十分です。

つみたてNISAで運用をしながら、資金に余裕のある場合は、つみたて投資枠と成長投資枠を併用するのがおすすめです。


<著者プロフィール>

福田 猛

ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役

大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。


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参考

経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/

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