「AI投資信託に興味がある」という方も多いのではないでしょうか。
AI投資信託には、メリットがある一方でデメリットもあるため、慎重に検討する必要があるでしょう。
今回は、AI投資信託とは何か、メリット・デメリット、今後の見通しについて解説します。
AIとは、Artificial Inteligenceの略で、日本語では人工知能と訳されています。
AI投資信託には、2つの意味があります。
まずは、AI投資信託の意味を正しく理解しておきましょう。
①AIが運用する投資信託
AI投資信託は、「AI(人工知能)が運用する投資信託」という意味で使われることがあります。
この場合のAI投資信託とは、AIがファンドマネジャーのような役割をし、銘柄を選定している投資信託のことです。
例えば、「AI(人工知能)活用型世界株ファンド(アセットマネジメントOne)」は、独自に開発したディープラーニングモデルを用いて、相対的に投資魅力度が高いと判断される銘柄を抽出します。
AI(人工知能)活用型世界株ファンドでは、その解析結果をもとにファンドマネジャーが判断し、ニュースフロー等のテキスト解析や個別企業のファンダメンタルズ分析を融合させ、ポートフォリオを構築します。
人の手では難しいようなビッグデータの分析も、AIなら短時間で正確にこなせます。
投資信託の運用を任されたAIは、経済指標はもちろん、企業の決算情報や市場に関連するニュースなどの膨大な情報を処理し、分析できるのです。
現状は、ファンドマネジャーが最終的に判断し、ポートフォリオを構成していますが、将来的にはAIがファンドマネジャーに替わって運用判断を担う可能性も示唆されています。
②AI業界を投資先とする投資信託
AI投資信託には、「AI関連企業の株式に投資をする投資信託」という意味もあります。
AI関連企業の株式をメインに投資をする投資信託には、以下のような銘柄があります。
・グローバルAIファンド(三井住友DSアセットマネジメント)
・野村 グローバルAI関連株式ファンドBコース(野村アセットマネジメント)
・ニッセイ AI関連株式ファンド(ニッセイアセットマネジメント)
・ダイワ・グローバルIoT関連株ファンド AI新時代(大和アセットマネジメント)
いずれもファンド名に「AI」が入っているのが特徴です。
例えば、三井住友DSアセットマネジメントのグローバルAIファンドの組入銘柄には、エヌビディア(NVDA)やメタ・プラットフォームズ (META)など、世界的に有名なAI関連企業です。
注目が集まるAI投資信託ですが、具体的にどのようなメリットがあるのか整理してみましょう。
「➀AIが運用する投資信託」に投資をするメリットは、以下の通りです。
・AIが市場動向や株価の動きを計量的に捉え、学習する
・AIが将来のリターンを予測し、魅力度の高い銘柄を選定する
・地域や業種を限定せず、柔軟で効率性に優れた運用が可能
日々の投資環境をAIが継続して学習することで、より投資判断の精度向上が期待できます。
また、人がとらわれがちな過去の運用実績や、「この会社は危ない」などの先入観を抜きにして、データ分析に基づいた投資戦略を構築できるのは、AI投資信託ならではのメリットと言えるでしょう。
「②AI関連企業の株式に投資をする投資信託」に投資をするメリットは、以下の通りです。
・AIは今後の成長産業として大きな注目を集めている
・成長期真っ只中にあるAI産業は、将来的な高リターンが期待できる
・世界中のAI関連企業に分散投資が可能
人工知能を活用したAI産業はまだまだ発展途上のため、長期投資が基本です。
しかし、他の分野と比較しても成長スピードが早いため、今投資をすることで将来的に大きなリターンが見込めるでしょう。
AI投資信託なら、世界中のAI関連企業に分散投資が可能です。
AI投資信託への投資には、残念ながらデメリットも存在します。
例えば、AIが運用する投資信託の場合、日々の市場動向をAIが学習して投資判断を行うため、過去に例のない不測の事態には弱いという特徴があります。
AIに完全に任せるのではなく、有事の際には人間の判断も必要になることを理解しておきましょう。
AIに任せたからといって、必ず利益が出るということではなく、運用成績は最終的にファンドマネジャーの力量に左右されます。
AI関連企業の株式に投資をするデメリットとしては、高いリターンが見込める分、ハイリスク投資であるという点です。
過去の例が少なく運用実績を参考にできない点や、テーマ型ファンドの場合、手数料が高いなどもデメリットとして挙げられます。
AIが運用する投資信託の精度は、年々上がってきています。
現在は、AIによる解析結果をもとにファンドマネジャーが最終判断を行いますが、今後は「AI(人工知能)がファンドマネジャーに替わる日が来る」とも示唆されており、AIを活用した投資はさらに注目を集めていくことになるでしょう。
また、最近ではAIが投資判断やアドバイスをしてくれるロボアドバイザーを利用する方も多いです。
ロボアドバイザーを利用すれば、自分の運用スタイルや目的に合った商品を提案してくれたり、運用を一任することも可能です。
一方で、AIを活用した投資信託については、慎重な見極めも必要です。
AIだから安心ということではなく、自身の投資知識も高めながら、今後の動向をしっかりと確かめる必要があるでしょう。
特に、AI関連企業の株式に投資をするテーマ型の投資信託は、注目されている間は高いリターンが見込めるものの、流行が廃れると運用成績が伸び悩む傾向にあります。
AI産業はまだまだ発展途上であり、今後の成長が期待されているテーマなので、今すぐに流行が廃れるということは考えにくいですが、投資にリスクはつきものです。
リスク・リターンを見極めながら、投資戦略に合ったファンドを選ぶことが重要となります。
<著者プロフィール>
福田 猛
ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役
大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。
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参考
経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/
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