日税FPメルマガ通信 第397号

金利下落局面になる前に「米ドル債券」の魅力を
再度解説する

2023年11月20日発行

 

2022年にFRB(米連邦準備制度理事会)は、インフレ抑制のために急ピッチで政策金利の引き上げを行いました。その影響により米10年債をはじめとした「米ドル債券」の利回りに魅力を感じている投資家が増えているようです。

ただし現在では政策金利の引き上げペースが鈍化し、今後は利下げに転じるとの見方もあるため「米ドル債券」への投資は今がチャンスかもしれません。

今回は米ドル建て債券の魅力と注意点について解説します。

1.米ドル債券とは

米ドル債券は外国債券の一種です。債券とは国や企業といった発行体が資金調達をする際に発行する有価証券のことで、外国債券とは「発行体」「通貨」「発行市場」のいずれかが国外である債券のことを指します。

投資家が債券を購入すると、投資家は資金を発行体に貸していることになり、債券ごとに定められた償還期限(満期)がおとずれると、額面金額が投資家に償還(返還)されます。債券の保有期間中、投資家は定期的に利息を受け取ることができ、この利息が債券の主な利益になるという仕組みです。

2.米ドル債券の魅力

米ドル債券は、アメリカの有力企業や米国政府が発行する米国財務省証券(トレジャリー)と呼ばれるものまでさまざまな種類があります。これらの米ドル債券の魅力を紹介します。

高い利回りが期待できる

米ドル債券は高い利回りが期待できる商品が多い傾向があります。
例えば代表的な債券である10年債利回りで比較してみましょう。
2023年8月上旬時点で米10年債は4.0%近辺で推移しているのに対し、日本の10年債利回りは0.5%後半~0.6%近辺で推移しています。
仮に米10年債の利回りが4.0%、日本の10年債利回りを0.58%とした場合、100万円分購入して満期まで保有すると利益は次の通りとなります(換金時の為替レートの影響などは含んでいません)。

【米10年債】
100万円×4.0%×10年=40万円(税引き前)

【日本の10年債】
100万円×0.58%×10年=5万8,000円(税引き前)

リスクを抑えた運用ができる

債券は満期まで保有していれば、額面通りの金額が償還され、定期的に利息が受け取れるため、安定したリターンが確保できる金融商品です。

ただし発行体が破綻・倒産すると元本の返済や利息の支払いが行われなくなる可能性があります。
そのため債券は専門機関があらかじめ発行体の信用力を測り、格付けをしています。
投資家はその格付けで、発行体の信用度を確認したうえで投資ができる点も魅力と言えるでしょう。

分散投資ができる

投資は複数の値動きの特徴が異なる資産を保有する、いわゆる分散投資によって価格変動リスクを抑えやすくなります。原則、債券は株式と値動きの特徴が異なるため、株式を保有するときの分散投資先として有効です。
債券は一般的に株式に比べると利回りが低い傾向がありますが、2023年8月時点では米ドル債券は高利回りの商品も多く、債券の中でも有力な投資先と言えるでしょう。

3.米ドル債券の注意点

米ドル債券は保有期間中、市中金利や発行体の信用力によって債券価格が上下する場合があります。
そのため満期前に売却をした場合は、利益になることもありますが、損失が出る可能性がある点は注意が必要です。

また売却時、償還時の為替レートによっては円に換金した際に損失が生じる為替リスクや、発行体の破綻・破産リスクについても留意する必要があるでしょう。

4.「米ドル債券」への投資は今がチャンス?

アメリカではコロナ禍からの経済の急回復によりインフレが起こり、2022年3月のFOMCからインフレ対策として急速な政策金利の引き上げを継続してきました。

こうした対策により、依然としてインフレの継続を示す経済指標が散見され予断を許さない状況であるものの、インフレの指標となる数値に鈍化傾向が見受けられます。

そのため2022年のようなペースで政策金利を引き上げる可能性は低いでしょう。
2024年以降は利下げに転じるとの見方もあり、米国の債券利回りは低下していくと考えられます。
金利下落局面になる前に、米ドル債券も検討してみてはいかがでしょうか?


<著者プロフィール>

福田 猛

ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役

大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。


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参考

経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/

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