最近、「ウェルビーイング経営」というものが注目されています。
テレワークが増え、コミュニケーションが減ったとも言われる中で、企業が目指すべき経営スタイルとして話題となっています。
ただ、「ウェルビーイング」と言われてもよくわからないという人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は、ウェルビーイング経営とは何かについて解説します。
ウェルビーイングは「幸福」を意味しますが、より具体的に「身体的・精神的・社会的に良好な状態」と定義されます。
そして、ウェルビーイング経営は、社員が身体的、精神的、社会的な面で満たされるように組織の環境を整えることとされています。
かつては、サービス残業を強要したり、管理職が部下に厳しいノルマを課し、それを達成できなければ叱責して追い詰めたりするというような会社もありました。しかし、時代は変わり、そのような企業は「ブラック企業」とされ、一度ネットで噂になれば誰も就職しなくなります。
つまり、人材の確保が難しくなります。
また、そのような古い体質の会社では、心を病んでしまう社員も増え、社員もどんどん辞めてしまいます。
人手不足の世の中で、このような経営を続けていてはまずいということで、ウェルビーイング経営が注目されるようになりました。
やる気のない社員がいくら働いても生産性は上がりません。
他方、社員がワーク・ライフ・バランスをうまくとることができれば、仕事のモチベーションも上がります。
仕事のモチベーションが上がれば、自然に生産性は上がります。
これが、ウェルビーイング経営で最も期待されていることです。
プライベートが充実していて労働環境が良く、仕事もやりがいを感じられるような職場であれば、特別の事情がない限り仕事を辞めたいとは思いません。
そのため、社員の定着率が向上します。
社員が長く務めることになれば、知識や技術力も高まります。
社員の定着率が良いことは、入社を決める際の重要な要素になっているので、社員の定着率が良くなれば採用率も向上します。
先輩社員が良い会社だと発信していれば、学生は安心してエントリーしやすくなります。
生産性の向上により売上が上がり、人も順調に増えていくような会社であれば、会社の社会的信用力も高まります。
結果的に全てが好循環になります。
上司が威圧的で部下が意見を言いにくいような環境では、部下のストレスが溜まり、生産性も上がりません。
部下が意見を言いやすいような環境を作ることが重要になります。
そのためには、部下から上司への人事評価制度導入などが有効です。
ワーク・ライフ・バランスをうまく取るためには、労働環境を改善しなければなりません。
コンプライアンスは当然のこととして、有給休暇取得率の向上、残業時間の縮減、テレワークの実施など、
仕事とプライベートの両方を充実できるよう配慮することが求められます。
社員が良く働くためには、健康であることが前提になります。
そのため、法定の健康診断だけでなく、人間ドックの補助なども大事です。
また、キャリアプランを応援するため、資格取得を支援するなどの取り組みも有効と言えます。
ウェルビーイング経営をする上で鍵を握るのは、管理職の意識改革です。
管理職の意識が変わらなければ、職場の雰囲気は変わらないからです。
そのため経営者は、管理職の意識改革をするために、ウェルビーイングの考え方について研修すると共に
ハラスメント研修やコンプライアンス研修などを実施し、労働環境の改善について今まで以上に取り組んでいく必要があります。
ウェルビーイング経営は、会社全体で取り組まなければ効果はでません。また、すぐに結果が出るというものでもありません。
しかし、長い目で見た場合、ウェルビーイングの取り組みをしていかなければ、人材の確保は難しくなります。
気づいた時には手遅れということにならないためにも早めに取り組むことが重要です。
<著者プロフィール>
福田 猛
ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役
大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。
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参考
経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/
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