福祉はぐくみ基金という制度の加入者数が急上昇していますが、比較的新しい制度なのであまり知らないという人もいるかもしれません。
この記事では福祉はぐくみ資金の特徴やメリット・デメリットについて解説します。
福祉はぐくみ基金とは、2018年に発足した保育や介護といった社会の発展を支える人たちの老後の資産形成や福利厚生を支援するための制度(DB(確定給付企業年金))です。一般企業における企業年金の一種と考えると分かりやすいでしょう。
2018年に発足して以降、加入事業者数、加入者数いずれも上昇傾向にあり、2022年4月時点では、738件の事業所が加入し、加入者は3万人を超えています。
福祉はぐくみ基金は毎月の給与の一部を前払い退職金として、前払い退職金部分を従来通りそのまま給料で受け取るか、前払い退職金部分の一部または全部をはぐくみ基金の掛金として将来受け取るかを選べます。掛金は1,000円から1,000円単位で選択可能で、毎年4月と10月の年2回掛金の変更が可能。資産運用は大手保険会社が委託運用するため安心です。
また福祉はぐくみ資金は、退職時だけでなく、休職時や育児・介護休業時も受け取ることができます。同基金最大の特徴と言えるでしょう。
福祉はぐくみ基金は、従業員の給与の一部を前払い退職金部分として同基金の掛金にするか、これまで通り給与として受け取るかを選ぶため(選択制確定給付企業年金)、基金導入にあたり、企業や事業主が新たに負担する費用がありません。
また社会保険料が労使折半であることから、従業員が、前払い退職金部分を基金の掛金とすることで企業や事業主が負担する法定福利費が軽減されます。ただし、はぐくみ基金そのものが法定福利費の負担を軽減させるものではありません。
福祉や保育、医療以外の従業員が少ない中小企業が加入できる点もメリットと言えるでしょう。
同基金の掛金は複数の大手生命保険会社へ委託運用しているため、元本割れしにくい仕組みですが、仮に給付時に退職金の積立不足が発生した場合、退職金の不足分を補う必要があります。
福祉はぐくみ基金の加入者掛金は元本保証され、利息が付きます。また、数年で退職した場合でも給付を受け取ることができる他、休職、育児・介護休業でも受け取ることが可能です。
同基金の掛金は、給与等とみなされないため所得税や社会保険料などの負担が軽減されます。
その他、退職時に一時金で受け取った場合は退職所得控除(休職・休業時に受け取った場合一時所得の特別控除)、20年以上勤務すると年金として受け取りが可能で公的年金等控除が受けられる、経営者や役員も加入できるといったメリットがあります。
社会保険料が軽減されるということは、納める社会保険料が減少することになるため、将来の社会保険からの給付や雇用保険の失業給付などの金額が減少する可能性があります。
ただし、多くの場合、加入するメリットの方が大きくなるケースが多いと言われています。
福祉はぐくみ基金とは、老後の資産形成や福利厚生を支援するための制度で、一般企業の企業年金にあたるものです。
ただし、同基金は退職時だけでなく、休職、育児・介護休業時も受け取ることができます。基金の仕組みを理解して、資産形成に役立てましょう。
<著者プロフィール>
福田 猛
ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役
大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。
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参考
経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/
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