世界の人口が、日銀は12月の金融政策決定会合において、金融緩和政策の修正を決定した。長期金利の変動許容幅を従来の±0.25%程度から±0.5%程度に拡大した。
日銀は、12月19~20日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和政策の修正を決定した。長短金利操作の運用で、±0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を±0.5%程度に拡大した。なお、短期金利は従来の-0.1%を維持する方針である。
現状の景気判断については、資源価格上昇の影響などを受けつつも、感染抑制と経済活動の両立が進むもとで『持ち直している』を維持した。
一方、リスク要因として、国内外の感染拡大の影響や資源価格の高騰、ウクライナ情勢など海外経済の不確実性は大きく、注視していく必要があるとした。
黒田日銀総裁は会見で、今回の政策修正は市場機能を改善することで、金融緩和の効果がより円滑に波及するための措置であるとし、大規模な金融緩和の継続の必要性を改めて強調した。
市場関係者は、日銀は現状の金融政策を維持するとの見方が大勢だったため、想定外の緩和修正を受けて株はショック安の様相を呈した。
日銀の緩和修正によって外国為替市場で円高・ドル安が進んだほか、長期金利が上昇し、日産自や三菱自といった自動車株や住友不動産や三井不動産といった不動産株の下落が目立った。
東証プライム市場の銘柄9割が下落し、金融関連株を除くとほぼ全面安の展開だった。政府と日銀が定めた共同声明の見直し論が一部で浮上したことから、12月20日の国内市場は寄り付きより様子見ムードが強く、方向感に欠ける展開であった。
しかし、声明文公表後に長期金利は上昇基調を強め一時0.46%まで上昇、為替(ドル/円)も4 円上昇し、133円台前半まで円高が進行した。
その後は、金利上昇が嫌気されたハイテク株や輸出採算への悪化懸念から輸出関連株(自動車など)を中心に売られ、日経平均の終値は前日比-2.5%(前日比:669円安の2万6568円)、東証REIT指数は同-5.3%となった。
日銀が12月19日公表した資金循環統計によると、日銀による国債保有割合が2022年9月末に時価ベースで初めて5割を超え、過去最大となった。
日銀は金融緩和のために長期金利をゼロ%程度に抑えこんでいるが、金利上昇圧力の高まりで国債購入が膨らんだ。中央銀行が財政赤字を事実上穴埋めしている状況で、財政規律の緩みなどの副作用も強まっている。
黒田日銀総裁の任期を2023年4月に控え、市場の関心は、次期の総裁人事や新総裁の政策の方向性に向かうものと思われる。
日本銀行の今回の金融政策決定会合で、長期金利の上限引き上げを決め、家計や企業活動にも影響が及びそうである。住宅ローン金利は固定型の利率が長期金利を参考にして決まり、年初来の引き上げが加速する恐れがある。ただし、円相場は日米の金利差縮小で円高方向に振れるとみられ、急速な円安で進んだ輸入物価高の沈静化にも一役買いそうである。大規模緩和を修正する方針を決め、従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大する。12月20日から適用する。長期金利は足元で変動幅の上限近くで推移しており、事実上の利上げとなる。変動幅の拡大は2021年3月に0.20%から0.25%に引き上げて以来となる。日銀の裁量で決まる短期金利とは異なり長期金利は市場の売り買いで決まるため、日銀が金利の上昇(債券価格の下落)を抑えるため、国債を指定した利回りで原則として無制限に買い入れている。2016年9月、長期金利を0%程度、短期金利をマイナス0.1%に誘導する長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を採用し、その手段として導入した。2021年3月には許容する長期金利の変動幅を「プラスマイナス0.25%程度」と明示した。なお、今回の上限引き上げで、今後は0.25%から0.50%まで上昇を認める。
長期金利の上昇でまず懸念されるのは、住宅ローン金利の負担増である。今年に入り世界的な金利上昇で日本の長期金利にも上昇圧力がかかり、固定型は引き上げの動きが続いたが、今後拍車がかかりかねない。また、企業向け貸出金利の指標である長期プライムレート(最優遇貸出金利)も長期金利を参考としているため引き上げられる可能性がある。一方、米国の急激な金融引き締めで拡大してきた日米の金利差は今回縮小方向に動いた。円建て用するうまみが強まることで、外国為替市場では円買いが進みそうだ。円高は輸入製品の購入負担を下げるため高止まりした国内物価を抑制する効果があり、家計負担の軽減につながると期待される。
米商務省が12月15日発表した11月の米小売売上高(季節調整済み)は、前月比0.6%減の6894億ドル(約94兆円)だった。2カ月ぶりの減少に転じ、市場予想を下回った。インフレ下で迎えた年末商戦では消費者の節約志向が続き、必需品以外の家具や電子機器など裁量支出が軒並み減少した。前年同月比では6.5%増だった。
中古車やトラックの価格が低下した自動車と自動車部品が2.3%減り、ガソリン価格の下落を受けてガソリン支出も0.1%減った。自動車とガソリンを除いた売上高も0.2%減だった。
百貨店が2.9%減ったほか、家具が2.6%減、ホームセンターが2.5%減と落ち込みが目立った。電子機器が1.5%減、スポーツ用品が0.6%減、衣料品も0.2%減った。インターネット通販などの無店舗小売りも0.9%減った。
年末商戦のピークを迎えたが、必需品などの主要なカテゴリーが家計を圧迫し、ホリデーシーズン中のプレゼント用の予算が限られたことを示している。また、2022年10月には各社が前倒しでセールを実施しており、需要を先食いした可能性もある。
一方、外食は0.9%、食品・飲料は0.8%それぞれ増えた。数値はインフレ調整されていない。
11月の貿易統計速報によると、同月の輸出額は米国向け自動車などが伸び、前年同月比20%増の8兆8375億円だった。輸入額は火力発電所などで使う原油や液化天然ガス(LNG)などが増え、同30.3%増の10兆8649億円となった。
輸入の伸びが輸出を上回り、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は遡れる1979年以降、11月として過去最大の2兆274億円の赤字となった。
なお、貿易赤字は2021年8月から続いている。
1. 日経平均株価(225種):
2022年12月21日(5年間)
年初来騰落率 ▲4.4%
2.ニューヨークダウ(米国):
2022年12月22日(5年間)
年初来騰落率 ▲8.6%
<著者プロフィール>
乾 晴彦 氏
CFP、1級FP技能士、DCアドバイザー、宅建取引士(旧:宅建主任者)、証券外務員一種資格、終活カウンセラー、PB(プライベートバンキング)資格 昭和31年生まれ。
長年にわたり金融機関でコンサルティング業務を担当後、大手証券会社の人材開発室で、FP・生命保険の社内講師を務める。
現在は、銀行・証券・保険会社をはじめとする上場企業での社員向け営業研修講師、また、大学や大手資格予備校、FP教育機関でのFP研修講師として活動している。シニア層や富裕層向けの研修・相談業務には定評があり全国にファンも多い。
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