リスクを抑えて運用したいけれど、リスクが小さい商品はインフレに弱いので、ここ最近のインフレ局面ではできれば避けたい。そんな人は物価連動国債を検討してみましょう。
物価連動国債は日本のコアCPIが上昇すると上昇率と同じだけ元本が増加する商品です。また、利率は発行時の利率が固定されますが、元本が増加するため利子は増加します。
この記事では、物価連動国債の仕組みとメリット・注意点について解説しています。
物価連動型国債とは、元金が物価の状況に連動して「増減」する債券です。通常の「固定3年」・「固定5年」・「変動10年」といった個人向け国債は、発行時の元金が償還(満期になって元金が返ってくること)、まで変わることはありません。
しかし、物価連動型国債は国債発行後に物価が上昇するとその分だけ元金が上昇します。利払いは年に2回、利払時の想定元金額に表面利率を乗じた金額が支払われます。金利は発行時に固定され、全利払いを通じて変わることはありません。しかし、物価によって元金が変動するため、物価が上昇すれば利子も増え、物価が下落すれば利子は減少します。
【物価連動国債のイメージ】
■額面金額100万円 ■表面利率 年0.1%
発行時から半年後に、日本のコアCPIが1.0%上昇すると想定元金額は101万円に増加。金利は0.1%(年利)÷2=0.05%なので、101万円×0.05%=505円となります。
ただ、物価が上昇すれば想定元金額は増加しますが、逆に物価が下落すると想定元金額は下落し、利子額も減少することになります。
しかし、平成25年以降に発行される物価連動国債は、フロアという仕組みが適用され、満期時の償還金額が、額面金額(100万円)を下回ることは無く元本は保証されます。
物価連動国債はコアCPIに連動するため、インフレに強い投資商品と言えます。円安やロシアのウクライナ侵攻の影響によるエネルギー価格の上昇の影響をうけ、日本でもコアCPIは4ヶ月連続で2.0%を超えています。
最近のインフレ局面においては、物価連動国債はメリットが大きい商品と言えるでしょう。
一般の個人向け国債は、物価に連動して元金が増加することは無いので、インフレ局面では資産価値が目減りしてしまいます。
物価連動国債は、額面価格では無く発行価格で購入することになります。
発行価格は市場のインフレ予想を反映した価格になるため、今後インフレで推移する可能性が高い時期に購入すると、額面価格が100万円、発行価格(初期投資額)が110万円のように、すでに実質、元本割れスタートとなることがあります。
したがって、本来、同商品は最低保証があるので、額面価格を下回ることはありませんが、最終的な損益としてはマイナスが発生する可能性はあるということです。
物価連動国債の商品設計
日本は消費税増税を除けば、13年4ヶ月ぶりのインフレ局面をむかえています。
インフレ対策として、株式投資や投資信託を取り入れることも有効ですが、リスクを抑えた運用をしたい人は物価連動国債を検討してみてはいかがでしょうか?
<著者プロフィール>
福田 猛
ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役
大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。
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参考
経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/
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