貿易赤字が長期化する恐れが出てきました。財務省が2022年6月16日発表した5月の貿易統計速報によりますと、輸出額から輸入額を引いた貿易収支は2兆3846億円の赤字でした。比較可能な1979年以降で、赤字額は過去2番目の規模に膨らみました。その背景には、原油価格が高止まりし、輸入額が輸出額を上回り、さらに、円安に歯止めもかからず、年度ベースでは過去最大の赤字になる可能性があります。
貿易赤字は10カ月連続であり、2014年1月に記録した過去最大の赤字額の2兆7951億円に迫ります。
(2)日本の物価上昇
総務省が2022年6月24日発表した5月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が101.6となり、前年同月比2.1%上昇しました。
なお、上昇率は2カ月連続で2%を超えました。
・「8割以上」が15.3%、以下、
・「5割以上8割未満」(17.7%)、
・「2割以上5割未満」(16.6%)、
・「2割未満」(17.3%)、
・「0割(全く転嫁できていない)」(15.3%)
となった。
日銀は緩和継続のメリットとコストを勘案して政策を決めていますが、そのバランスは大規模緩和が長引くにつれて微妙になりつつあります。
急速な為替変動を受け、声明文のリスク要因には「金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を十分注視する必要がある」が追記されました。
▽通常(0.25%)の3倍にあたる0.75%の利上げ。
政策金利は年1.50~1.75%に。
▽7月の会合でも0.5%か0.75%の利上げを検討
▽2022年末の政策金利見通し(中央値)は3.4%
▽保有資産の規模縮小(量的引き締め)を継続
▽2022年10~12月期の実質国内総生産成長率見通しは前年 同期比1.7%増。
2022年3月時点より0.9ポイント下方修正
そうしたスパイラルを断ち切るために、早期に足元の高インフレを押さえ込む必要がでてきたわけであります。
2022年6月の米国FOMC声明文では、「インフレ率を2%の目標に回帰させることに強く取り組む」と、新たに決意表明されました。
インフレ抑制という点では望ましいことでありますが、同時にインフレ抑制の過程での景気悪化も辞さずということでもあります。
米連邦準備理事会(FRB)が0.75%の利上げを決め、市場は金融引き締めの加速を織り込み、米経済が景気後退に陥るとの懸念が高まり、株売りが広がりました。
ダウ平均の6月17日終値は、前日比38ドル(0.1%)安の2万9888ドルで、前日の6月16日にはおよそ1年半ぶりに3万ドルを下回りました。6月17日は前日までの下げがきつかったハイテク株に押し目買いが先行する場面もありましたが、取引終了間際にかけて売りが優勢となり、連日で年初来安値を更新しました。
連邦準備理事会(FRB)の利上げにより、米国で住宅ローン金利が急騰しています。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)が6月16日更新したデータによると、30年固定の住宅ローン金利(週平均)が5.78%となり、前週から0.55%上昇しました。この週間の上昇幅は、1987年4月以来で約35年ぶりの大きさとなります。
住宅ローン金利は2008年11月以来の高水準で、1年間で約2倍に上昇しました。
金利の上昇がさらに鋭さを増せば、米国内総生産(GDP)の3~5%を占める住宅投資が過度に冷え込み、家電などの関連需要の落ち込みも生じて景気後退リスクが高まります。
家計や金融機関の財務基盤は強固とFRBは主張しますが、ノンバンクを含め金融システム面の危機の火種は随所に存在します。
<著者プロフィール>
乾 晴彦 氏
CFP、1級FP技能士、DCアドバイザー、宅建取引士(旧:宅建主任者)、証券外務員一種資格、終活カウンセラー、PB(プライベートバンキング)資格 昭和31年生まれ。
長年にわたり金融機関でコンサルティング業務を担当後、大手証券会社の人材開発室で、FP・生命保険の社内講師を務める。
現在は、銀行・証券・保険会社をはじめとする上場企業での社員向け営業研修講師、また、大学や大手資格予備校、FP教育機関でのFP研修講師として活動している。シニア層や富裕層向けの研修・相談業務には定評があり全国にファンも多い。
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