これから資産運用を始める初心者の場合、手元にあるお金をできるだけ減らすことなく安全に増やすためにも、まずは「投資」と「投機」の違いを知ることが大切です。
そこで今回は、投資と投機にはどんな違いがあるのか、ギャンブルにならない安全な資産運用の方法について解説していきます。
まずは、資産運用を行ううえで覚えておきたい「投資」と「投機」の意味やそれぞれの違いを解説します。
■投資とは何か
投資とは、将来的に資金を増加させるために、一定の利益を見込んで現在の資金を投じることを指しています。株式、債券、不動産など、投資対象にはいくつかの種類があります。
また、投資によって得られる利益の種類としては、値上がり益や配当、売却益などがあげられます。
■投機とは何か
投機とは、短期的な売買による利ざや(売買差益)を狙う取引です。
安いときに購入し、価格が上昇したときに売るという単純な仕組みですが、常に勝ち続けることは専門家でも困難だと言われるほどギャンブル性が高いのが特徴です。
確率的には低くなりますが、勝てば大きな利益を生む場合もあります。
■投資と投機の違い
投資と投機のもっとも大きな違いは、運用期間にあります。
短期的な売買による利ざやを狙う投機の場合、日々の値動きをしっかりとチェックしながら、タイムリーに注文を出していかなければいけません。1分1秒の差によって大きな利益を逃したり、大きな損が生じてしまうこともあるため注意が必要です。
一方で、投資は現在手元にある資金を投じ、将来的にその資金が増加することを期待して行うものです。一定の時間をかけて資金を運用する投資であれば、一時的に価格が下がったとしても運用期間中に値が戻る可能性があるため、利益を出せる可能性が高くなります。
ただし、投資の場合も元本が保証されているわけではないので、リスクとリターンのバランスを考えて商品を選ぶことが大切です。
特に資産運用初心者の場合、「投資と投機の違い」を理解しておかなければ、気づかないうちにギャンブル性の高い投機に手を出してしまい、せっかく貯めた自己資金を減らしてしまうリスクもあります。
そこで続いては、初心者が避けるべき投機(ギャンブル)性の高い資産運用の方法について、その特徴を紹介します。
■短期投資は投機(ギャンブル)性が高い
日々の値動きを常に確認しながら短期投資を行う場合、大暴騰や大暴落といった大きな値動きがあったときにタイムリーに売買ができれば、大きな利益を生めるというメリットがあります。その一方で、取引のたびに売買手数料がかかるため、少額の売買差益では利益が出にくいのはデメリットです。
つまり、値動きが大きいほど利益を出しやすくなりますが、その分大きな損が出る可能性もあるため、短期投資は投機(ギャンブル)性の高い資産運用の方法だと言えます。
■ハイリスク・ハイリターンな金融商品
資産運用を始める場合、投資対象に何を選ぶかはとても重要です。
資産運用の対象としては、株式、債券、不動産などさまざまなものがありますが、選ぶ金融商品によってリスクの度合いが異なります。
資産運用において「リターン」とは運用によって得られる利益のことをあらわし、「リスク」とは、「リターンの不確実さや振れ幅」のことをあらわします。つまり、ハイリスク・ハイリターンな金融商品の場合、大きな利益を得られる可能性はあるものの、リターンを得られるかどうかは不確実であり、その振れ幅は大きいということです。
リターンの振れ幅が大きいということは、大きな利益を得られる可能性と同時に大きな損をする可能性もあるということです。どうしても投機(ギャンブル)的な要素が強くなるため、安全にお金を増やしたい場合は避けたほうが良いでしょう。
■値動きの激しい金融商品
資産運用初心者の場合、値動きの激しい金融商品は避けたほうが無難です。
例えば、暗号資産(仮想通貨)は需要と供給のバランスによって価格が大幅に変動するため、値動きの激しい金融商品として知られています。大きく資金を増やせる可能性はあるものの、一気に価格が暴落してしまうリスクもあるため、わずか数日の間に資金を大きく失ってしまう可能性もゼロではないことを理解しておかなければなりません。
投機(ギャンブル)要素が強いため、お金を減らさず安全に増やしたいなら、安易に手を出すのではなく、しっかりと知識を身につけたうえで始めるようにしましょう。
では、投機(ギャンブル)にならない投資や安全な資産運用とそしては、どのような方法があるのでしょうか。ここからは、安全な資産運用を行うために知っておきたい、長期投資や分散投資のポイントを紹介します。
■長期投資による資産運用
長期投資(10年以上)による資産運用には、主に2つのメリットがあります。
1つは、投資期間を長くすることで一時的に相場が下がったとしてもトータルではプラスになる可能性があることです。短期間の投資の場合は、相場が下がってしまうと期間内に相場が戻らない可能性がありますが、10年以上の長期投資であれば、一時的に相場が下がったとしてもトータルでは利益が出せる可能性が高くなります。
もう一つは、長期運用を行うことで複利効果が高くなることです。
利息には単利と複利の2種類があります。単利とは、元本のみに利息がついていくもので、例えば100万円を5%の利回りで運用した場合、利息分は「100万円×0.05=5万円」になります。
一方で、複利の場合は元本+利息に利息がついていくため、1年目の利息は単利と同様で5万円ですが、複利の場合の2年目の利息は元本に利息をプラスした金額に利息がつき、「(100万円+5万円)×0.05=52,500円」となります。
つまり、積立式の金融商品を複利で運用すれば、運用期間が長くなるほど資産を増やすことができるということです。
■分散投資による資産運用
分散投資とは、株式と債券のように、投資の対象を分散させて投資を行う方法です。
値動きに影響を与え合わない2つの種類の金融商品を保有し、投資の対象を分散させておくことで、仮に投資対象の一つが値下がりをしたとしても、他でカバーできるためリスクを最小限に抑えることができます。
また、時間の分散投資、エリア(地域)の分散投資など、いろいろな分散投資の手法があります。
<著者プロフィール>
福田 猛
ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役
大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。 2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。 東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。
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参考
経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/
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