日税FPメルマガ通信 第353号

つみたてNISAを満額利用するための注意点とは
2022年1月20日発行

 

つみたてNISAは年間で最大40万円を上限として、クレジットカードや証券口座を用いて月々の積み立てを行う税制メリットの大きい投資です。
最長で20年間、分配金や売買収益への課税がされず非課税で、長期間にわたる分散投資を行うことが可能であることが、つみたてNISAの人気の理由となっています。


年間40万円の限度額まで積み立てる満額利用を検討されている方が増えていますので、つみたてNISAの満額利用で注意すべき点について改めて解説いたします。


1.つみたてNISAの満額利用の開始時期と増額

つみたてNISAを満額利用することで、税金の非課税メリットを最大限に活用したいと考える場合には、積み立てを開始するタイミングについて注意が必要です。
個人の資産運用であるつみたてNISAは、1年の期間を元旦(1月1日)から大晦日(12月31日)までとしています。4月から3月の会計年度ではありません。
つまり、つみたてNISAの満額利用の計算は、カレンダー通りの1月から12月までの期間で、40万円を積み立てたかどうかとなります。


つみたてNISAを1月から開始する場合には、毎月3万3333円を積み立てることによって年間で満額となる40万円の積み立てを実行することが出来ます。
しかし、多くの方にとって、年末年始は忙しく、1月があっという間に過ぎてしまうため、資産運用のことをすっかり忘れてしまい1年の途中でつみたてNISAのことを思い出します。


こうした1年の途中の月から、つみたてNISAを開始して、初年度から満額利用を行うためには、月あたり3万3333円ではなく、40万円を残り月数で割った金額に増額しなければなりません。
例えば8月からつみたてNISAを開始して満額利用するには、8月を含む残り月数は5カ月となりますので、40万円を5カ月で割って月あたり8万円に増額するようにしてください。


2.つみたてNISAのリスクに関する注意点

つみたてNISAは節税効果が高い制度であるため、満額利用が年間40万円だと知ると、どうしても限度額いっぱいまで利用しなければ損だと感じる方がいらっしゃいます。
しかし、つみたてNISAは節税メリットがある一方で、選択可能な投資信託には必ず株式が含まれているため、リスクがあることを忘れないようにしましょう。


特に期待利回りが高く設定されている投資信託については、リターンの期待が高い分だけリスクも同様に高くなります。
つみたてNISAは決して満額利用しなければならない制度ではありませんので、ご自身の現在の収入や、資産形成の目標金額を考慮しながら、毎月の積立金額を決定しましょう。


ただし、つみたてNISAの上限金額40万円に満たなかった金額については、翌年以降に持ち越すことが出来ませんので、合わせてご注意ください。


3.つみたてNISAの満額利用に関する注意点まとめ

つみたてNISAは月額3万3333円を継続して積み立てることによって、年間で最大40万円の投資信託やETFへの投資からの分配金や売買収益が、非課税となります。
投資信託の配当金や売買収益には通常、20.315%の課税がされますので、節税効果はとても魅力的です。


満額利用の基準となる期間は、毎年元旦の1月1日から、大晦日の12月31日までです。4月から3月末までの会計年度ではありませんので注意しましょう。
また、つみたてNISAのリスクについても忘れないようにしてください。どれだけ節税メリットが高くても思うような投資成果が得られなければ元も子もありません。


決して満額利用が必須ではありませんので、リスクについて理解し、収入や目標金額を考慮しながら毎月の積立金額を決定してください。




<著者プロフィール>

福田 猛

ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役

大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。 2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。 東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。


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参考

経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/

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