日税FPメルマガ通信 第351号

保有株式がTOBにあった際に取るべき正しい対応とは
2021年12月21日発行

 

株式投資をしていると、自分が保有している銘柄がTOBにさらされる機会があるかもしれません。
この記事では、TOBとは何か、また自分の所有している株式銘柄がTOBにあった時に考えられる3つの方法について紹介しています。


自分の所有している銘柄が、TOBになることに不安を感じている方は、参考にしてください。


1.TOBとは

TOB(Take Over Bid)とは株式公開買付のことで、公開買付者が「買付価格」、「買付予定数」、「買付期間」を公示し、証券取引所を通さず、市場外で不特定多数の株主から株式を買い集めることをいいます。


TOBをする目的は主に次の2つです。


・相手企業に対しての支配権を強める

・自社株を買い集める


TOBの目的について以下詳しく説明します。


●相手企業に対しての支配権を強める
発行済み株式に対して、株主がどれくらいの割合の株式を保有しているかという割合を持株比率といいますが、相手企業の持株比率を高めることで、より相手企業の重要な決定事項に関わることができるようになります。
つまり、特定の企業の株式を大量に買い集め、持株比率を高めれば、その企業の経営を支配することが可能になるのです。


●自社株を買い集める
他社の株式だけではなく、上場廃止したい、または、他社からの買収を防ぐなどの理由で自社株を買い集める際にもTOBを利用することがあります。


2.なぜTOBは市場外で買い集めるのか?

なぜTOBは証券取引所を通さずに市場外で株式を買い集めるのでしょうか。
TOBのメリットについて解説します。


TOBのメリット
TOB一方、証券会社を通じて市場から株式を買い集めようとすると、目標となる株式数に至らなくてもキャンセルはできません。そのため、TOBに失敗した場合は、株式の購入代金が損失となる可能性があります。


また、市場で株式を大量に購入すると株価が上昇してしまい、買付する側は買収にかかる費用が増加してしまうため見通しが立てにくくなります。一方、TOBは買付価格を事前に公示して購入するため、買収に必要な金額の見通しが立てられます。


3.保有株式がTOBにあった際に取るべき正しい対応とは

保有株式がTOBにあった際に、株主の取るべき選択肢は主に以下の3つです。


・TOBに応じる
・市場で売却する
・そのまま保有する


それぞれについて詳しく解説します。


◇TOBに応じる
買付企業の指定する証券会社に口座を開設し、株式を移管することで証券会社に保有する株式を買い取ってもらう方法です。銘柄によっては、移管手数料がかかることがあります。
一般的に市場価格よりもTOBによる買付価格の方が高値ですが、値上がりして市場価格の方が上回る可能性もあるので、売却をする際は忘れずに比較しましょう。


◇市場で売却
TOBが公示された後も引き続き上場していれば、TOBではなく証券会社に売却注文を出し、市場で売却ができます。
TOBが公示されると、市場価格も買付価格に近付いていく傾向があります。
TOBは応募株数合計が買付予定数の上限を超えた場合は、一部しか買付してもらえない、または、TOB自体が失敗に終わると株価が急落する、といったこともあるので、TOBではなく市場で売却してしまうことも1つの方法です。


◇そのまま保有
株式をそのまま保有し続けることも可能です。ただし、TOB完了後、上場廃止となる場合は、流動性が極めて低くなるため注意が必要です。
また、TOBが上場廃止を目的としている場合は、株式を現金と引き換えに強制的に手放さなければならないこともあります


4.まとめ

TOB(Take Over Bid)とは株式公開買付のことで、相手企業に対しての支配権を強める、自社株を買い集めるといった目的で行われます。


もし自分が保有している株式がTOBにあった場合の選択肢としては主に、TOBに応じるか、証券会社を通じて市場で売却するか、そのまま保有するという3つの選択肢があります。
それぞれの特徴を理解して、総合的な判断を心がけましょう。




<著者プロフィール>

福田 猛

ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役

大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。 2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。 東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。


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参考

経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/

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