日税FPメルマガ通信 第341号

65歳からの資産運用は早めの検討が大事!やってはいけない注意点
2021年7月20日発行

 

65歳からの資産運用は何をすればいいのか?日本では年金制度によって老後の生活もある程度保証されています。しかし、描いているライフプランに向けて少しでも資産を増やしたい方や、退職金を元手に資産運用を始めたい方は多くいます。本記事では、65歳からの資産運用に必要なことと注意点を紹介します。


1.65歳以降の老後資金、実際どれくらい必要?

・65歳以降の老後資金がいくら必要かはライフプランによって変わる

まずは老後資金というのはそもそもいくら必要なものなのでしょうか?
「老後2000万円問題」という言葉が世の中に知れ渡り、それが多いと感じた方もいれば、少ないと感じた方もいて、論争を巻き起こしたのも記憶に新しいかと思います。
老後の必要な資金に絶対の正解はありません。それは、その人の老後生活に入る時点での環境(例えば持ち家かどうかなど)にも左右される問題でもあり、その後描くライフプランにも大きく影響されるからです。


・65歳以降に想定されるライフイベント

65歳以降のいわゆるセカンドライフにも様々なイベントが存在します。退職、子供の結婚や出産、親の介護など多岐にわたります。それぞれのステージにおいて、どの程度の資金が必要になるかなどは十分に把握しておく必要があります。特に、親の介護問題については、費用の問題だけではなく、その後の相続に至るまでトラブルになりやすいことから、早い段階で兄弟間などでの話し合いなどは持つべきといえるでしょう。


・ライフプランを立てるポイント

次にライフプランを立てるためのポイントについて解説します。まずはセカンドライフにおいて、どんな暮らしがしたいのかをまとめましょう。
旅行や個人の趣味など、健康維持のための活動などを列記していきます。そして、日々の生活費なども含めて、セカンドライフにおいてどの程度の費用がかかるのかを計算し、イメージを具体化します。ここで重要になってくるのが、まずは現実的な数字にすることではなく、自分がやりたいことつまり理想のセカンドライフのプランを立てるということです。

次にライフプランを立てるためのポイントについて解説します。まずはセカンドライフにおいて、どんな暮らしがしたいのかをまとめましょう。
旅行や個人の趣味など、健康維持のための活動などを列記していきます。そして、日々の生活費なども含めて、セカンドライフにおいてどの程度の費用がかかるのかを計算し、イメージを具体化します。ここで重要になってくるのが、まずは現実的な数字にすることではなく、自分がやりたいことつまり理想のセカンドライフのプランを立てるということです。

次にそれを実現するために資金のストックとフローを可視化します。まずは現在の資産の洗い出しから始めます。「預貯金」「想定される退職金」「株式や投資信託などの有価証券」「保険」「DC(確定拠出年金)」など、現在の自身の資産を計算します。
その資産をベースに、老後のキャッシュフローを作成しましょう。一般的な老後収入である、公的年金、企業年金から始まり、不動産や生命保険会社の個人年金などを保有されている方であればそういった収入もカウントします。
次に支出です。支出については、まずは1か月の基本的な生活費を推定し、上記の収入との差し引きを行い、月々のベースとなるキャッシュフローを把握します。
次に大きなキャッシュアウトも想定しておく必要があります。代表的なものとしては、家の修繕費用や車の買い替えなどがありますが、子供の結婚や住宅の支援などもあるので、可能な限り洗い出しを行いましょう。
次に最近では「終の棲家」という言葉がある通り、最終的に自分がどういうところに住んで、どういう生活をしたいかなどもイメージしておくとよいでしょう。
全てに通じることですが、もちろん描いた通りのセカンドライフになることはあまりありません。
ただ事前にある程度の想定をしておくことで、限りなく理想に近いセカンドライフを歩んでいけることに繋がるというのは言うまでもないでしょう。


2.65歳からの資産運用は早めの検討が大事

ここからは65歳からの資産運用についてお伝えします。
代表的な事例としては、65歳で退職金を受け取り、それを元手に資産運用を始めるケースが多いかと思います。ここで最も重要になってくるのが、やみくもに運用を開始しないということです。上記のような、ご自身のセカンドライフが可視化されていない状態で資産運用を始めてしまうと、そもそも自分がどういった運用利回りが必要なのかなどのゴールがぼやけてしまいます。
こういった目標が定まらずに資産運用を開始して、大きな損失を被ってしまうケースは非常に多く見られますし、あとは開始の時期という問題もあります。退職金を受け取ることをきっかけに資産運用を開始する方を非常に多く見かけます。
退職金というのは一時的にご自身の資産額が拡大するイベントであり、資産運用のニーズが高まるという意味では最大のイベントなのかもしれません。ただある程度セカンドライフのイメージが出来ている方ではそれにとらわれる必要は全くないといえるでしょう。
資産運用には様々な方法はありますが、時間をかけて長期で継続するというのに勝る方法はありません。手元の資金がない方であったとしても、月々で拠出する積立投資などを活用するのも一つの手段です。65歳からのセカンドライフに向けて、いち早く計画して、いち早く資産運用を開始するのが得策といえそうです。


3.65歳からの資産運用でやってはいけない注意点

次に65歳からの資産運用でやってはいけない注意点を紹介します。
最も多いケースとしては、ご自身が取るべきリスクを考えずにやみくもに運用を開始してしまい、ハイリスクな運用に傾斜してしまうというケースです。例えば、よくあるケースとしては運用未経験の方で退職金が入り、ハイリスクな商品であることを知らずにほぼ全額を特定の投資信託に投じてしまうケースなどがあります。
運用未経験の方からすると、プロに任せることが出来て安心という気持ちで、その商品のリスクを確認せずに行ってしまうこともしばしば見かけます。一般的には退職金などの資産は、セカンドライフにおいて「失ってはいけない資産」であることは多くの方にとっていえるでしょう。
全く知識がないままに投資デビューしてしまうと、こういったことが起こりがちになる為、専門家に相談するもしくは退職金を受け取る前から少額でも投資を経験し、しっかりとした事前知識を得ておくというのも重要です。


4.65歳からの資産運用におすすめのポートフォリオ

最後に65歳の資産運用におすすめのポートフォリオを紹介します。この部分については、投資知識や経験などにも差があると思いますし、資産背景や環境などによって取るべきリスクが変わってくるため、一般的な方法を紹介します。


・投資信託による分散投資

非常に代表的な方法です。
様々な投資信託を組み合わせることでリスクを抑え、老後資金の性格にあった運用を実現することが出来ます。ここでは詳細は割愛しますが、ポイントは「別の値動きを取る」商品を組み合わせるという点です。いくら複数の商品を組み合わせたとしても、同じ値動きを取る商品だったとしたら、リスクを抑えるという効果は見込めません。
それ以外にも個々の商品のコストやリスクなどにも十分に留意する必要はありますが、非常に一般的な方法といえそうです。


・債券によりインカム投資

上記の投資信託の運用とは異なり、利益を定期的に獲得しながら運用を行う方法です。
債券にも国債、社債、円建て、外貨建てなど様々な種類の金融商品が存在します。ご自身の運用計画の中で、年間のキャッシュフローの補完を重要視したい方であればこちらの活用も検討しましょう。
注意点としては、投資信託とは異なり日々の値動きなどを気にする必要は減りますが、購入した債券の発行体がデフォルト(破綻等)しないかどうかという点です。この部分に関しては、あまり一つの商品に比率が偏りすぎないようにするなども工夫が必要になってきます。


5.最後に

本稿では65歳からの資産運用における準備や注意点などをあげさせて頂きました。セカンドライフにおいて、必要な資金ややり方に絶対的な正解はありません。まずはご自身でのセカンドライフのイメージをしっかり具現化することから始めましょう。資産運用についてどのような方法を取るべきか、このイメージに則ってできるだけ早い段階でスタートするのが望ましいといえそうです。
ただ、一般的にはこういった計画の策定から運用戦略の策定などで苦戦してしまう方が多いのも事実です。



<著者プロフィール>

福田 猛

ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役

大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。 2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。 東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。

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参考

経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/

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