日税FPメルマガ通信 第312号

   

<2018年を通した仮想通貨をめぐる世界の動き> 

2019年4月20日発行 

■1.はじめに

 2018年は、仮想通貨をとりまく環境が大きく変化するきっかけになった年でした。コインチェック流出事件、時価総額の暴落、仮想通貨業者に対する金融庁の立ち入り検査など、業界は大揺れでした。
本コンテンツでは2018年中の仮想通貨の動きを振り返るとともに、2019年の動きについて予測します。 

■2.仮想通貨の2018年を振り返る

 一般的に仮想通貨とは、「日本円など法定通貨とは異なる単位を有し、インターネットなどを通じて電子取引される財産的価値」などと定義されます。通貨とはいっても決済手段よりは投機的取引の対象としての要素が強く、2017年は仮想通貨バブルともいえるほどの値上りをみせ多数の億万長者が出ました。

 2017年と対照的だったのが、2018年です。1月に仮想通貨取引所大手のコインチェックから580億円という巨額の資金流出事件が起こり、その後コインチェックのみならず仮想通貨市場全体がもつ問題点が明るみになりました。

 コインチェックは、アンチマネーロンダリングやテロリストへの資金供与対策防止および利用者保護のために2017年4月に施行された改正資金決済法の移行にともなう「みなし業者」でした。さらに正式な仮想通貨取引業者として登録されたはずのテックビューロでも資金流出事件が発生し、世間を騒がせることになったのです。

 この一連の不祥事を受け相次ぎ実施された金融庁の立ち入り検査により、多くの仮想通貨交換業者で内部体制の不備が確認され一部の業者には行政処分も出されました。
これに基づく業界への信用失墜に呼応するかのように仮想通貨市場は下落が相次ぎ、多くの投資家が損失を被ったのです。

■3.特筆すべき仮想通貨

 2018年の仮想通貨市場は総じて大きく下落しましたが、個別銘柄によっては上がったもの・動かなかったものもあります。値動き別に注目すべき仮想通貨を以下にまとめました。

(1)下がった通貨|REP
 仮想通貨市場Augerは、賭け事を行なう未来予測市場のプラットフォームとして知られています。通常、賭場には胴元とよばれる存在が付きものですが、Augerではこの胴元を排することで投資家にフェアかつ低コストな取引の提供を目指しています。Augerで取引される通貨がREPであり、2018年はマイナス11パーセント超となっています。

(2)上がった通貨|DENT
 DENT Wireless Limited社による仮想通貨です。スマートフォンなどのモバイル通信データや帯域幅をユーザー間同士で自由に売買できるという特徴があります。2018年はプラス3パーセント超であり、良好なパフォーマンスを見せた仮想通貨のひとつです。

(3)動かなかった通貨|NCASH
 NCASHは2018年2月に上場した比較的新しい仮想通貨であり、ハーバード大学が開発した仮想通貨として話題をよびました。また、ARKはスマートブリッジや高速取引承認の技術により、利便性の高い通貨機能の提供を目指しています。
いずれの通貨も2018年の時価総額はプラスマイナスほぼ0パーセントで、比較的安定しているといえます。

■4.2019年の仮想通貨市場はどうなる?

 2018年8月に金融庁が公表した仮想通貨交換業者の検査・モニタリングに関する中間とりまとめでは、特に仮想通貨交換業者の内部管理体制が指摘されています。これを受け2019年以降は各種の法改正により仮想通貨交換業者に対する規制が一段と強くなることが予想されることから、仮想通貨を取り巻く環境は不安定な状況が続くものと考えられます。

 これを受け、2019年の仮想通貨市場は冬の時代が続くでしょう。仮想通貨交換業者に対する利用者保護の信頼性が回復し市場規模が拡大するのは、まだ先かもしれません。

 

<著者プロフィール>

福田 猛

ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役

大手証券会社入社後、10年間、1,000人以上の資産運用コンサルティングを経験。2012年IFA法人であるファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。独立系資産運用アドバイザーとして数多くのセミナーを主催し、幅広い年齢層の顧客から支持を受け活躍中。

著書に「金融機関が教えてくれない 本当に買うべき投資信託」(幻冬舎)がある。

2015年楽天証券IFAサミットにて独立系ファイナンシャルアドバイザーで総合1位を受賞。

 

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参考

経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/

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