日税FPメルマガ通信 第253号

 

<資産運用コンサルティングのポイントVol.50株式投資で「PBR」を有効活用する方法とは? -後篇->

 

平成28年10月25日発行

 

 

株式会社ZUUの押田です。前回の最後に、「PBRは万能の指標ではない」と注意点を述べました。今回は、その続きから解説していきます。安値で放置されている銘柄には理由があります。PBRが1倍を割り込んでいる株を割安だからといって買うべきだと考えるのは、余りにも短絡的といえるでしょう。「安かろう悪かろう」という言葉が示唆するように、ある銘柄が安値で放置されているのには、それなりの理由があるのです。「割安に買いなし」は、まさにそういう状態を表現した相場格言なのです。

 

■PBRを有効活用するには?

それでは、PBRをどのように活用すれば有効な活用ができるのでしょうか?  たとえばPBRが1倍を割り込んでいるが、倒産の噂が出るほど経営内容が悪化していない企業は、将来的に化ける可能性を秘めているといえるでしょう。「銘柄が安値で放置されているのには、それなりの理由がある」と先に述べましたが、PBR1倍割れを裏付ける明確な理由がまったく見当たらないのであれば、投資対象として非常に割安であり、将来的にも有望といえます。

 

実際問題として、この企業の株価が「少なくともPBR1倍までは回復する可能性がある」と予想することは理に適っています。外部環境が改善し、市場参加者のリスク許容度が高まると、割安な銘柄に見直し買いが入ることがよく起きるからです。PBR1倍割れ銘柄を買っておけば、少なくとも1倍までの値幅は取れると期待することは可能です。

 

■再編が加速する業界のPBR1倍割れ銘柄は狙われやすい

最後に、PBRが企業のM&Aにおいて重視されるケースがあることも触れておきます。というのも、再編が活発化する業界でPBRが1倍を割り込む企業があれば、競合企業が買収に動く可能性があるからです。 同業他社の買収を狙う企業からみると、PBRが1倍を割り込み、有利子負債も少ない企業となれば買収して経営統合を行うメリットが大きいです。株価が割安なため、多少上乗せ分を払って株を買ったとしても、買収先企業の資産を割安に取得できて、財務面でプラスとなることが期待できます。

 

企業が同業他社を買収する場合、通常は顧客基盤の拡大や、原材料調達時の取引条件の改善といった「規模の経済」のメリットが第一の狙いとなります。ですが、買収先の企業をPBR1倍以下で買収することができれば、買収を仕掛ける企業の経営陣として、その買収を正当化する理由となり得ます。

 

裏を返せば、上場企業が同業他社に買収されるリスクを下げるには、PBRが1倍を大幅に上回る水準まで株価を引き上げる努力が必要になります。企業として成長戦略を示し、一般の投資家の投資資金を集めておくことが不可欠といえるでしょう。投資家としては、企業の合従連衡が盛んな業界であれば、低PBR銘柄には投資妙味があるといえそうです。

 

 

 

<著者プロフィール>押田裕太

大和証券にて中小企業経営者をはじめとする富裕層向けに資産コンサルティングをおこなう。その後、株式会社ZUUに入社。入社後は、現在配信先含めて月間2000万アクセスを超える投資家向け金融・経済メディア ZUU online の運営に携わる。金融担当として、日々アナリストなどの金融専門家への取材等を通じ、個人投資家に役立つ情報を提供。Yahoo!ファイナンス 投資の達人としても執筆をおこなっている。

 

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参考

ZUU online:http://zuuonline.com/

ZUU Advisors-Support:http://support.zuuadvisors.com/

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