日税FPメルマガ通信 第255号

 

   

<資産運用コンサルティングのポイントVol.52 企業業績を「先読み」 株式投資で役立つ経済指標とは?-後篇->

 

平成28年11月25日発行

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 株式会社ZUUの押田です。前回に続き、企業業績を予想する上で着目するべき経済指標を産業別に見ていきましょう。

 

◯サービス業界

 

サービス産業の統計には特定サービス産業動態統計調査、いわゆる「特サビ」があります。これにより、ゲームソフトを含む情報サービス、フィットネスクラブ、遊園地・テーマパーク、学習塾など19業種の月次売上高を見ることができます。

 

これとは別に、サービス産業動向調査は日本のGDPの7割を占めるサービス業の全体像を把握する目的で2008年から公表を始めたもので、対象業種が多く、ディフュージョン・インデックス(DI)も集計しているため、各業種の景況感も同時に把握できます。

 

サービス産業の動向を見極めるには、業界統計も大事ですが、とくに一般消費者向けサービスではその支出の元手となる賃金の動きが先行指標になります。国内消費が盛り上がらないのは賃上げが不十分だとみられているからです。

 

勤労世帯の収入を月次で集計する家計調査や毎月勤労統計調査でそれなりの賃金上昇が定着したと確認できれば消費関連株の支援材料になります。また、消費者の先行きの購買姿勢を探るには、半年先の「暮らし向き」や「収入の増え方」などをアンケート調査する消費者態度指数や、消費者密着型の自営業者などの景況感を尋ねる街角景気(景気ウォッチャー調査)が有効となります。

 

◯小売業界、不動産業界

デパートやコンビニ、スーパーマーケットなどの小売統計はそれぞれの業界が月次売上高を公表しています。三鬼商事が毎月発表するオフィス空室率と賃料のデータは建設・不動産業の景況感を見るうえで役立つだけでなく、企業全般のセンチメントを測るのに貴重なデータとなります。

 

 

 

■株式投資は間違いさがし

 

「株価は、常に適正価格を探し続けます」。株価は、その時点で予見できる全ての情報を反映するのかもしれませんが、その予見がはずれてしまうと結果的に株価が間違うこともあります、常に正しい価格を織り込もうと推移していきます。

 

株式市場の伝統的な条件反射、例えば「金利上昇=株安」などもよく吟味したほうがよいといえるでしょう。金利が上昇するということはそれだけ経済が強い、需要全般が好調であることを意味すると捉えることもできます。

 

「対岸の火事は買い」といった相場の格言も、各国経済が相互依存を一層強めた現状に当てはまるとは限りません。例えば、米国の利上げが後づれ観測し、米国株が上昇、日本株もそれに連れて上昇するといった局面が見られましたが、それもおかしな話です。米国の金利上昇はドル高・円安要因となり、それが遅れるとなると、米国景気がそれほど強くないということも含め、日本の輸出企業の業績にマイナスに働くためです。

 

業績が好調なのに株価が不当に安いからその銘柄を買う、あるいは成長見通しの割に株価が高すぎるから売る、という投資行動は、株価の間違えを探していることにほかなりません。個別業種・企業の業績を読むためにも経済指標を上手く活用しましょう。

 

 

<著者プロフィール>押田裕太

大和証券にて中小企業経営者をはじめとする富裕層向けに資産コンサルティングをおこなう。その後、株式会社ZUUに入社。入社後は、現在配信先含めて月間2000万アクセスを超える投資家向け金融・経済メディア ZUU online の運営に携わる。金融担当として、日々アナリストなどの金融専門家への取材等を通じ、個人投資家に役立つ情報を提供。Yahoo!ファイナンス 投資の達人としても執筆をおこなっている。

参考

ZUU online:http://zuuonline.com/

ZUU Advisors-Support:http://support.zuuadvisors.com/

 

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