日税FPメルマガ通信 第257号

  

2016年の運用成果を見直そう!来年に向けた投資戦略の見直し方節税対策> 

平成28年12月26日発行

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■1.今年の運用成績はいかがでしたか

 

 今年も投資の世界は大荒れでした。投資家の皆様は大変苦労されたのではないでしょうか?

 損をしてしまった投資家は“なぜ損をしたのか”を一年の締めくくりに考えて来年は同じミスを繰り返さないようにしないといけません。

  年始からいろいろありました。原油価格の下落から株式やエネルギー関連資産が大きく値下がりし、2月には日経平均株価は15000円を割りました。その後相場は、落ち着きを取り戻したかのように思えましたが、6月に英国がEUから離脱する“ブレグジット”が起こり、日経平均株価は再度15000円割れ、ドル円相場も1ドル100円を割り込む円高になりました。2015年夏のチャイナ・ショック以降は市場のボラティリティ(価格の変動幅)も高まっており、「なかなかうまく儲からない」という投資家が多いことでしょう。

 しかしこれらは予測できたことでしょうか。ほとんどがNOでしょう。

弊社が情報交換をしている投資のプロたちもブレグジットを予想していた方はほとんどいませんでした。しかし予測は出来なくても対応はできるのです。しっかり対応して変動を乗り切ったファンドマネージャーは多くいました。

 

2.資産配分 見直しの重要性

 

 ほとんどの投資家は毎年、日経平均株価が上がる(円安になる)と利益が出るが、日経平均株価が下がる(円高になる)と損を出してしまいます。

 投資手法が“相場次第”の“何となく運用”になってしまっています。

  また国際分散投資をしている方も評価損に悩んでいることでしょう。インデックスの国際分散投資は世界の経済成長や、金利がある状態(マイナス金利ではない状態)を前提としているため、2016年から日本でもスタートしたマイナス金利で、運用のやりにくさを実感された投資家は多いのではないでしょうか。

 次のグラフをご覧ください。

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 このグラフは日本株式インデックスファンドと各資産の相関係数の推移です。3年ごとに区切って表記してあります。このグラフから分かることは各資産の値動きの関連性はどんどん変化しているということです。2000年頃は日経平均と米国リートの相関係数は0(値動きに関連性が無い状態)に近かったため、この2資産を同時に保有することで分散効果が期待できる状態でした。

 

 しかし、リーマンショック以降は2資産の相関係数は急激に1(同じ値動きをする)に近づいており、分散効果は望めない状態になりました。つまり保有する資産の値動きの関連性は一定ではなく変化し続けるため、定期的に見直しをする必要があるのです。相場環境はどんどん変化します。昔は世界の経済成長率も高く、金利も高く、インターネットも無かったので情報の行き来が遅かったため、単純な国際分散投資でも有効でした。

  しかし環境は変わっています。世界の経済成長率は新興国を含めても随分低く、金利については、先進国はマイナス金利の国が多く出てきており、インターネットの普及で情報が瞬時に世界を駆け巡る時代になっています。

 近年残高が急拡大しているファンドラップは当初決めた最適な資産配分をずっと繰り返す設定ですが、一年後には“最適な”資産配分であるとは限らないことに注意が必要です。単純な国際分散投資では資金を守れない時代になっています。ですから時代が変われば投資戦略を見直す、ということはとても重要なことなのです。

 

 投資家の中にはリスク分散のためにUSリートとアメリカ株と日本株を保有されている方もいらっしゃいますが、この4資産の相関係数はかなり1に近いため、日本株式インデックスファンドだけを保有しているのと運用成果はほとんど同じです。むしろ日本株インデックスファンドを保有しているだけの方が低コストで有利といえるかもしれません。銘柄を多く持つことが必ずしもリスク分散になるとは限らないのです

3.年末調整は運用成果を見直す良い機会

 年末年始は一年の投資戦略を見直すうえで非常にいい機会だと思います。

多くの投資家は評価益が出ている時には毎日資産残高を確認したくなりますが、損している時には見たくなくなります。損失に目を背けてしまいがちです。

 しかし年末年始は損益通算をしたり、年間取引報告書が送られてきたりする時期であり、自分の一年の投資の成果を直視する機会になります。

 自分の運用成果を見直して損をしているなら“今年は相場が悪かったから損した”と思っているだけでは不十分です。もう一歩踏み込んで損をした理由を知る必要があります。

■4.なぜ損をしたのか?

 

 悪いのは「相場」ではなく「投資戦略」なのです。何故損をしたのかという根本的な原因が分かっていないと、相場次第の運用から脱却は出来ません。ですからまず年末年始にご自身の投資戦略を見直してみませんか。

 損をしてしまう投資家には共通点が多いものです。少しの知識や少しの注意で避けられる可能性が高いものです。

  運用成績が良かった人も良くなかった人も来年は良い運用成果をあげられるよう、この機会に投資戦略を見直してみてはいかがでしょうか。

 

 

<著者プロフィール>

福田 猛

ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役

大手証券会社入社後、10年間、1,000人以上の資産運用コンサルティングを経験。2012年IFA法人であるファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。独立系資産運用アドバイザーとして数多くのセミナーを主催し、幅広い年齢層の顧客から支持を受け活躍中。

著書に「金融機関が教えてくれない 本当に買うべき投資信託」(幻冬舎)がある。

2015年楽天証券IFAサミットにて独立系ファイナンシャルアドバイザーで総合1位を受賞。

 

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参考

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