本メルマガは、当社「日税主催研修」「日税オンデマンド」でもご活躍いただいている(株)事業パートナーの代表取締役社長・松本 光輝先生に300社を超える会社の再生の成功体験をもとに、金融機関交渉に関してQ&A形式でまとめて頂きました。この情報が関与先様へのアドバイスの一助となれば幸いです。
音声設備機器のシステム設計・製造業者
年商3億円、仕入原価の高騰と人件費の高さが粗利をマイナスにしている。過去3年間売上激減が続いたが、過去業績が良かったため累損はなく、多額にあった剰余金も開発費等で使いきり、26年度は借入金が集中してしまい負債額が2億3千万円まで膨らんでしまった。事業を継続していくためには、今からどうすれば良いか?
回答致します。
まず、経営が苦しくなった原因を整理して考える。
①過去3年間売上激減
②粗利益の低下
③開発費に資金を使った
④26年度に借入を集中して行った
以上、4点です。この4点が一定期間で集中的に行われた為に、経営が苦しくなった訳です。では、今後、事業を継続していく為に、これらをどの様に対処していったら良いかを説明します。
①過去3年間売上激減
売上減少の原因は、1)販売先の減少、2)同じ販売先の販売額の減少。この2つは対処方法が異なります。
1)の場合は、営業範囲と頻度の拡大を行います。
2)の場合は、競合他社の競争に負けたか、販売商品のマンネリ化です。相手側に真意を確認して対策を考えます。
②粗利益の低下
・販売価格を調べて値上交渉をする。2015年現在は、円安の影響を受けて多くの企業は価格を上げています。
・仕入れ価格を下げる交渉をする。
一見して2つのことは矛盾しているように見えますが、両方やるのが経営です。
③開発費に資金を使った
企業にとって商品開発は重要です。ただ、必要なことは経営ですから、資金が回らなくなったら停止してしまい、最悪は倒産ということになることもあります。経営者は“資金を不足させずに商品開発をする!”という難問を解決し続けなければなりません。良い経験になったと考えるべきです。
④26年度に借入を集中して行った
ここも、“事業計画を立てて、合計でいくら借りて、毎月いくら返済する”という総合的な戦略が必要です。最もいけないのが、“足りないから借りる”というパターンです。
さて、今後の対策ですが、向こう3ヶ年の事業計画を立てて、売上と利益を大きな誤差がないように計算する。
次に、その利益に合わせた銀行の返済計画を作って銀行に理解を求める。しっかりとした計画書があれば、銀行も同意してくれるはずです。
税理士の先生が銀行へ動向すれば、その信憑性は更に増します。
売掛入金と買掛支払のサイトをチェックして、入金してから支払うという仕組みになっているかを確認して下さい。
最後に、経営者は独断ではなく、常に相談できる人を側に置くことが失敗しないコツです。頑張って下さい。
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<執筆者>
松本 光輝 氏
株式会社事業パートナー 代表取締役。40年にわたり、飲食業を中心に会社経営。バブル崩壊時に25億円の負債を抱え、その後3年半でその負債を解消する。2003年より、事業再生請負人として全国行脚中。この間、依頼先の多くが1~2ヶ月以内に、資金ショートに陥るおそれがあるという危機的状況の中から、1社も倒産させることなく、300社を優に越える会社の再生を成功させる。◎過去の経験を活かして、中小企業経営者の最高の相談者となるべく、活動を続けている。◎経営者はもとより、幹部社員の皆様・社員の皆様の声をくみ上げ、共に全社一丸となった再生を達成すべく、全力で取り組んでいる。着手後、30日以内に再生計画を作成して、実行に移している。◎会社を3年かけて再生させる独自の再生術は、他に類を見ません。
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