日税FPメルマガ通信 第325号

 

<今話題の気候変動 2020年に始めるべき「ESG投資」とは> 2020年5月20日発行 

 

 ESG投資とは、環境(E:エンバイロンメント)、社会(S:ソーシャル)、企業統治(G:ガバナンス)の頭文字をとって名付けられた投資手法です。

 これまで世界の投資家は、大きな収益を上げる企業こそが価値のある企業だという考えから、財務諸表や企業業績に注目して投資活動を行ってきました。

 しかし、企業がおこなう経済活動には、環境汚染を引き起こしたり、多くの雇用を奪ってしまうなどの負の部分があることも事実です。

 こうした企業活動による環境や社会などへの影響にも考慮して投資判断を行うべきであるとの考えが、ESG投資の基本です。

 気候変動との関わり方の観点から、ESG投資について解説します。

 

1.国連事務総長が提唱者であるESG投資

 ESG投資の起源となる考え方を示したのは、2006年まで国連事務総長を勤めたコフィー・アナン氏です。

機関投資家に対して「責任投資原則」というものを提示して、投資先の選定においてESG(環境、社会、企業統治)を判断材料に組み込むことを求めました。

どれだけ大きな収益を満たしていても、ESGの要素に欠けている企業は、社会から排除されるべきであるという強いメッセージでした。

 つまり、企業は「環境に配慮すること」「社会をより良くすること」「正しい企業統治をおこなうこと」が求められるようになりました。

 こうして、投資の世界にESGという考え方が徐々に浸透するようになりました。

2.ESG投資がリスクを回避してくれる

 ESG投資の考え方は今や、機関投資家のみならず欧米の一般投資家にも広く受け入れられるようになっています。

 公共性の高い機関投資家だけでなく、一般投資家がESG投資を行うようになった理由は、ESGを満たしていない企業に対する世間の風当たりが強くなってきたからです。

 特にSNS利用者が増加したことが大きな要因で、環境や社会への配慮を行っていない企業に対するバッシングが拡散され、企業業績に深刻なダメージを与える状況になっています。

 こうして、投資判断にESGを組み込むことによって、企業がバッシングの嵐に巻き込まれて業績を悪化させたり、裁判に発展するリスクを回避することが一般投資家にとっても重要な投資判断のひとつとなりました。

3.地球を守る気候変動への配慮は、ESG最大のテーマ

 ESGは「環境」「社会」「企業統治」という幅広いカテゴリを含むものですが、世界的に最も関心度が高いのは「環境」、つまり地球への配慮です。

 熱帯夜が増えたり、ゲリラ豪雨が発生するなど、近年では都会の暮らしの中でも気候変動を強く感じるケースが増えてきました。

 「北極の氷が溶けている」と警告されても実感が湧かなかった気候変動が、より身近なものとなってきています。

 このため、気候に対して配慮していない企業に対するバッシングは年を追うごとに強まる一方で、地球環境に優しい取り組みを行う企業への評価が上がっています。

 いわゆる「エコ」という言葉が、このような気候変動に配慮した企業活動では広く使われています。

4.2020年に始めるべき「ESG投資」まとめ

 大きな利益を上げることだけが企業の存在理由であるという資本主義の時代は終わりました。

持続可能な経済を構築することが世界の目標となっており、企業に対してもESGを重視した経済活動が求められるようになっています。

 投資判断にESGの考え方を用いることで、投資先の企業が世間からバッシングを受けるような突然のリスクを回避できます

 特に気候変動を防ぐエコ活動に取り組む姿勢が、全ての企業に求められています。

 直近の株価、企業業績、財務諸表などのこれまでの投資判断に加えて、ESG投資を実践することによって、リスクを回避しながら、持続可能な社会へと進む意思を示すことができます。

 2020年は困難な相場となっていますが、ESG投資を始めてみてはいかがでしょうか。

 

<著者プロフィール>

福田 猛

ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役

大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。 2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。 東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。

 

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参考

経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/

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