日税FPメルマガ通信 第317号

 <ハワイの不動産が急騰しているって本当?> 2019年9月20日発行 

1.はじめに

 足元では中国やロシアなど外部環境の不安要因があるものの、アメリカ経済は雇用の増⼤などを背景に総じて底堅く推移するものと考えられます。
  好調な見通しは、アメリカの不動産市場においても同様です。特にアメリカでは金融緩和策の継続などを背景に、需要が新規物件の供給を上回る状況も継続するでしょう。

 ところで、日本がそうであるように、アメリカでも地域ごとで不動産マーケットの状況は異なります。
 そこで本コンテンツでは、広大なアメリカの中で世界で最も知られている州のひとつであり、かつ不動産市況も活発な地域であるハワイについて、その好調さの背景を探ってみたいと思います。

2.ハワイの不動産価格は上昇基調

  ハワイには、いくつもの島があります。

 このうち、もっとも不動産市況の活発なオアフ島のデータをもとに、ハワイの不動産が概ね上昇基調であることを確認していきましょう。なお、統計データについては、不動産会社の協会としてハワイで最も規模の大きい「REALTORS」が提供するものを参照しています。

 2018年、一戸建て家屋の金額は中央値が790,000ドルで前年比約4.6パーセントの上昇、平均値は991,420ドルで前年比約8.2パーセントの上昇でした。
 また、集合住宅の金額は中央値が420,000ドルで前年比約3.7.パーセントの上昇、平均値は497,974ドルで前年比約6.1パーセントの上昇でした。

 一戸建ても集合住宅も、前年比でマイナスになった2011年以降は、7年連続の上昇を記録しています。そして、もっとも古い統計データの1985年から2018年に至るまで、一戸建て家屋は中央値が約398.1パーセント(年平均約4.84パーセント)・平均値が346.2(年平均約4.64パーセント)パーセント、集合住宅は中央値が約367.7パーセント(年平均約4.64パーセント)・平均値が343.2パーセント(年平均約4.62パーセント)も値上がりしているのです。

 2018年の取引件数については、一戸建て家屋が3,609件で前年比約7.7パーセントのマイナス、集合住宅が5,679件で前年比約2.5パーセントのマイナスとなっています。これはFRBがどの水準まで利上げに踏み切るかということを見極めるために、売買の見送りが相次いだことが原因とみられています。。

3.ハワイの不動産の魅力とは?

  ■供給が限られている
 ハワイは観光地としてだけではなく、居住地や別荘地としても人気があります。その需要は、アメリカ国内だけでなく海外からも高いものがあります。

 ところが、ご存じのとおりハワイは島面積が狭小であることから、賃借・購入を問わず旺盛な需要に対し物件の供給量に自ずと限界が生じます。世界的な低金利と金融緩和、そしてハワイという土地の魅力を背景とした需要に対して、物理的な供給があまりにも限られていることが、ハワイの不動産の価額が堅調であることの一因といえるでしょう。

■テナントを獲得しやすい
 ハワイは世界有数の人気リゾート地であり、季節を問わず世界各国から多数の観光客が訪れます。相対的に治安が良く、飲食やショッピングなど生活に欠かせない施設も豊富にそろっていることから、観光目的にかぎらず就労目的で長期間滞在する人は多いようです。

 したがって、このような人の滞在先としての賃貸物件は回転性の高さはあるもののテナントが付きやすく、長期的に安定した賃料収入が期待できる魅力的な収益物件なのです。

4.まとめ

 ハワイの不動産は投資対象として大変魅力的ですが、これはあくまで総論です。不動産は個別性が強いため、たとえハワイの不動産であっても購入する物件を間違えると賃貸どころか売却ができない「負動産」となる可能性もあります。

 物件の選定は、仲介業者だけではなく中立的な専門家の意見を取り入れながら慎重にすすめて頂きたいと思います。 

 

<著者プロフィール>

福田 猛

ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役

大手証券会社を経て、2012年に金融機関から独立した立場で資産運用のアドバイスを行うIFA法人ファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。資産形成・資産運用アドバイザーとして現役活躍中。 2015年楽天証券IFAサミットにて独立系アドバイザーとして総合1位を受賞。 東京・横浜を中心に全国各地でセミナー講師としても活躍し、大好評の「投資信託選びの新常識セミナー」は開催数240回を超え、延べ8,000人以上が参加。新聞・経済誌等メディアでも注目を集める。著書に『投資信託 失敗の教訓』(プレジデント社)等がある。

 

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参考

経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/

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