日税FPメルマガ通信 第276号

        

<5分でわかる!ビットコイン ブロックチェーンの基本> 

平成29年10月16日発行

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 VR(仮想現実)や人工知能(AI)。新しい技術の発達により、私達の生活は大きな変化を迎えつつあります。こうした新技術の中でも、あらゆる産業構造を変革させる可能性を持つ最新のテクノロジーとして注目を集めているのが「ブロックチェーン」です。

 2016年、経済産業省が公表した資料(※)のなかでは、ブロックチェーンは「フィンティック(ITと金融の融合)」の次に注目する重要な技術として位置付け、国内でブロックチェーン技術の応用に期待が持たれる分野について、およそ67兆円の潜在的な市場規模があると試算しています。
※経済産業省「我が国経済社会の情報化・サービス化に係る基盤整備|ブロックチェーン技術を利用したサービスに関する国内外動向調査」より

仮想通貨「ビットコイン」の基幹技術のひとつとしてスタートを切り、近年あらゆる産業分野でその応用が期待されている最新テクノロジー「ブロックチェーン」について解説します。

■1.ビットコインの基幹技術「ブロックチェーン」に注目が集まった理由は?

  ビットコインは、その価値を保証する国家や、集中管理する企業や銀行が存在しない点に大きな特徴があります。それを可能にしたのが、仮想通貨「ビットコイン」の偽造を防止して、安全に流通させるための基幹技術として組み込まれた「分散型台帳技術」ブロックチェーンです。

 ビットコインで使用されているブロックチェーンは、複数のコンピュータ同士が対等な関係で通信を行う「P2P(ピアツーピア)」のネットワークを利用して、いくつかの暗号技術を組み合わせた取引の記録を、世界中の参加者のコンピュータに分散して共有することで情報の改ざんを防止しています。
そして、すべての取引記録を「マイニング(採掘)」と呼ばれる作業で互いに監視し合うことで、不正や間違いがないか常に確認を行うことで、信頼性を担保する銀行や第三者機関を必要とせず、ユーザー間のトランザクション(所有権移転の取引)を実現しています。

 このブロックチェーン技術を応用すれば、サーバー構築や運用にかかるコストを大幅に引き下げながら、信頼性の保証された取引をユーザー同士で行うことも可能になります。そして世界中どこでも、24時間365日継続して運用可能な安定したシステムが、比較的低コストで構築できると言われています。

 2015年頃から、こうしたブロックチェーンの「分散型台帳技術」の大きなメリットに注目が集まり、仮想通貨だけではなく、金融、医療、農業、流通など幅広い産業分野で次世代プラットフォームとなる可能性をもつテクノロジーとして、その応用と実証実験がはじまりました。

■2.ブロックチェーンの金融サービスへの応用

  2016年、世界中でブロックチェーン開発のために投資された金額は、およそ2億8000ドル(300億円)以上と予測されています。
 ブロックチェーンの応用としてまず押さえておきたい産業分野といえば金融サービス関連です。
これまで銀行の保護する取引台帳と照らし合わせる時間、そしてセキュリティの確保やチェックにかかるコストを大幅に引き下げ、世界中どこでも、瞬時にやり取りできるシステムが生まれる可能性もある分野です。
  総合コンサルティング会社のアクセンチュアのレポートによると、米国の大手銀行がブロックチェーン技術を活用した帳簿管理システムを導入して取引情報を管理できるようになった場合に削減できるコストは、1社あたりで年間約1兆4000億円とのことです。
 米国の大手銀行8社だけでも、年間11兆円という国家予算並みのコスト削減に繋がることが指摘されています。

■3.透明性の高い、高効率なサプライチェーン(流通管理)に

 ひとつの製品を生み出すまでの原材料や製造過程、流通、そして販売までの情報をブロックチェーンに登録すれば、材料個別の在庫状況や、不具合品の発生した製造過程の追跡まで、すべて一括して管理することも可能になります。国内の市場規模だけでも32兆円に上るサプライチェーン(流通管理)の透明化、効率化に、大きな期待が寄せられる分野です。

 その技術は、工業製品に限らず美術品や貴金属、食品まで、あらゆる産業分野で応用がはじまっています。
 例えば “有機農業発祥の町”と呼ばれる宮崎県の綾町とオープンイノベーションラボが共同で行っている、出荷する野菜の土壌や品質、使用された農薬まで町が運用するブロックチェーンに書き込むプロジェクトは、農業の生産過程でブロックチェーン技術を導入した実証実験のひとつです。

 将来ブロックチェーン技術を活用した一括管理が進めば、スーパーやコンビニに並ぶ食品が、だれが生産し、どのように加工され、流通して販売されたか、消費者が手軽に確認できるようになり、食の安全性に関する問題の解決にも一役買うことが期待されています。

■4.ブロックチェーンを公的な権利証明に活用している事例

 中央集権的なデータ管理が不要で、安価に信頼性の高いシステムが構築できるブロックチェーン技術の応用により、これまで国や自治体が一括管理していた土地の登記や出産・婚姻・転居も、ブロックチェーン上で登録・公示・管理できるようになる可能性があります。地方自治体や政府の業務負担減少にも期待が寄せられている分野です。

 ジョージア(グルジア)やホンジュラス、スウェーデンでは、すでにブロックチェーン技術を活用して土地の登記を進めています。
また、IT先進国として知られるエストニア共和国では、すでに課税システムや登記、医療記録などの分野で、ブロックチェーン技術を応用したインフラの構築がはじまり、ブロックチェーンをベースとした証券取引所の開設準備も進められています。
 さらには2017年8月、エストニアは世界で初めて国家としてデジタル通貨を発行して資金調達を行う、ICO(イニシャル・コイン・オファリング)の実施を計画していることを明らかにしました。
いずれも実証実験の段階ではありますが、今後、ブロックチェーン技術が国家のインフラへ影響を与える可能性を探る上でも、要注目のプロジェクトといえるでしょう。

■5.誰でも安全にネットが使える社会へ!ブロックチェーンの今後にかかる期待

 インターネットの登場で、私たちの生活は格段に便利になりました。しかし、ネットにつながれた環境にある情報は、常に悪意ある破壊や改ざんのリスクが伴います。
 もともと仮想通貨「ビットコイン」の偽造を防止して、安全に流通させるための基幹技術のひとつだったブロックチェーンは、インターネットの安全性と利便性を格段に高め、今後の社会経済に大きなインパクトを与える可能性のある、今注目の最新テクノロジーなのです。

<著者プロフィール>

福田 猛

ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役

大手証券会社入社後、10年間、1,000人以上の資産運用コンサルティングを経験。2012年IFA法人であるファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。独立系資産運用アドバイザーとして数多くのセミナーを主催し、幅広い年齢層の顧客から支持を受け活躍中。

著書に「金融機関が教えてくれない 本当に買うべき投資信託」(幻冬舎)がある。

2015年楽天証券IFAサミットにて独立系ファイナンシャルアドバイザーで総合1位を受賞。

 

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参考

経済金融情報メディア「F-Style」:https://fstandard.co.jp/column/

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