英国の欧州連合(EU)からの離脱「ブレクジット(Brexit)」や米大統領選でのトランプ氏の勝利など、2016年はさまざまな驚くべき出来事が世界経済を揺るがしました。2017年も引き続き、混迷が予想されています。しかし、世界が混沌としているタイミングはある意味、投資のチャンスだという見方もあります。世界経済の混乱の中で勝つために、2017年に起こり得る世界経済のさまざまな可能性についてみていきましょう。
米ドル高と米国の長期金利上昇の影響を受けて、景気が回復傾向にあった国々の中で追随する動きが出ています。2016年12月の消費者物価指数を比較すると、ドイツが+1.7%、英国が+1.6%、オーストラリアが+1.5%など。
日本でも日銀が2013年から「物価安定の目標」として前年比2%を掲げ、2018年度中の達成を目指していますが、この「2%」というのは、各国の中央銀行に共通する指標のひとつです。物価が前年比2%程度まで上昇すると、インフレ率もだいたい同様に2%まで高まってくるので、各国は利上げのタイミングを計るようになります。今年は、インフレを受けての利上げを実施する国が出てくる可能性があります。
トランプ新大統領の基本的な姿勢は、米ドル高のけん制です。保護主義を打ち出し、米製造業の復活を声高に唱える同氏ですから、投資を呼び込むためにもドル高を抑制しないほうがおかしいといえます。
実際、1月17日には、トランプ氏が「米ドルは強すぎる」と発言し、米ドル全面安をもたらしました。今後も、為替相場は当面同氏の発言に翻弄される展開が続くと予想されます。
ただ、マーケットは要人の発言だけでコントロールできるほど単純なものではありません。相場が底を打ったタイミングで反転し、再び米ドル高を目指す展開は容易に予想できます。そのタイミングを逃さないためにも、チャートの動きに着目しておきましょう。
「有事の金」という言葉がある通り、世界経済が混沌としているときは、安全資産である金への投資意欲が高まります。一歩間違えれば紙くずにしかならない通貨や株券に比べ、まばゆい輝きを放つ金にはそれ自体に価値があり、決してゼロにはならないからです。
金価格は2017年年初から上昇を続けており、押し目買いを狙っていた投資家の中には、タイミングに迷っている方もいるかもしれません。米国での一部外国人の入国を禁止した大統領令や欧州でのポピュリズムの台頭、移民問題など、「有事の金」の買い材料には事欠かず、金価格はまだ値上がりするとみる人が多いようです。一方で、世界最大の金宝飾品の需要国である中国とインドで景気低迷などから金需要が減退傾向にあるという点にも着目です。強気予想の一方で、実需面からの需要減退も頭に入れておくべきでしょう。
<著者プロフィール>
福田 猛
ファイナンシャルスタンダード株式会社 代表取締役
大手証券会社入社後、10年間、1,000人以上の資産運用コンサルティングを経験。2012年IFA法人であるファイナンシャルスタンダード株式会社を設立。独立系資産運用アドバイザーとして数多くのセミナーを主催し、幅広い年齢層の顧客から支持を受け活躍中。
著書に「金融機関が教えてくれない 本当に買うべき投資信託」(幻冬舎)がある。
2015年楽天証券IFAサミットにて独立系ファイナンシャルアドバイザーで総合1位を受賞。
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